平成25年9月26日(木)15:00から土木学会講堂にて、第35回報道記者懇談会が開催された。今回の主なテーマは「土木工事の技術的安全性確保・向上のために」である。
土木工事の安全性確保の方策として、これまで一般的に議論されてきたのは現場での労働安全・衛生管理であり、この点に関しては相当に実施されていると考えられる。しかしながら、安全性をより確保し向上させるためには、施工時の労働災害の防止に加えて、事業の上流側、すなわち計画、設計、施工計画の各段階での更なる対策が必要と考えられる。
現在でも発生している土木工事の重大事故を根絶し、技術的安全性の確保・向上を図ることが強く求められている中で、土木学会では、安全問題研究委員会(委員長 白木渡 香川大学教授)の委員を中心とした「土木工事の技術的安全性確保・向上検討小委員会」を新たに設置し、総合的な対策の検討・立案に取組む。
小委員会では、「事故事例の分析」、「海外の事例分析」、「今後の工事の安全確保のあり方」の3つの重点課題について議論する。「事故事例の分析」では、重大事故を対象に、判例分析や発注者、設計者、施工者視点から、事故要因分析する。「海外の事例分析」では、我が国の制度の現状と課題や、海外の土木工事標準約款、労働安全衛生法等を分析する。「今後の工事の安全確保のあり方」では、入札・契約における安全経費の考え方、想定を超えた事態を施工前にどのように学術的・技術的に評価し対策するか、発注者、設計者から施工者まで含んだリスクアセスメントのあり方、発注者、設計者から施工者まで含んだ安全に対する審査体制、発注、設計から施工までの全体の安全衛生調整者の養成について検討する。
年内には方向性を決め、年度内に報告書をまとめる予定である。
話題提供者:
土木学会 安全問題研究委員会 委員長 白木渡(香川大学大学院 教授)
同委員会 幹事長 大幢勝利(労働安全衛生総合研究所)
土木学会 会長 橋本鋼太郎
同 専務理事 大西博文
社会コミュニケーション委員会 委員長 野崎秀則
同委員会 委員 高橋薫