はじめに
本報告書は、平成26年度に公益社団法人土木学会技術推進機構内に設置された「アセットマネジメントシステム実装のための実践研究委員会」における平成30年度の活動の成果を取り纏めたものである。本委員会は、内閣府が実施する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術(PD:藤野陽三)」の研究テーマのひとつである「道路インフラマネジメントサイクルの展開と国内外への実装を目指した統括的研究(代表;石田哲也)」の中で、持続可能なアセットマネジメントシステムの体制構築を地方公共団体に対して実装することを主要な目的として活動している。
平成27年度から新潟市を対象に持続可能なアセットマネジメントシステムの体制構築を推進するためのモデル事業を開始し、平成28年度からは、新たに町田市(東京都)、桑名市(三重県)、富士市(静岡県)、津別町(北海道)を選定し、アセットマネジメントシステム構築のためのモデル事業を推進している(津別町は、平成28年度で終了)。本事業は、地方公共団体が管理するインフラ施設の維持管理・更新等の長期的なマネジメントシステムを確立するため、施設管理者である地方公共団体の体制及び能力を考慮しつつ、地域の実情に応じて適切な体制を構築できるよう、当該地方公共団体が抱える課題を明確にし、課題解決方策を検討するとともに、その実践を推進するために専門的知見の提供等の支援を行うものである。4市に対しては、それぞれ事業支援者(建設コンサルタント等)を選定し、本委員会とともにモデル事業を円滑に推進させるための支援を行ってきた。
各モデル事業においては、それぞれの地方公共団体がアセットマネジメントシステムの体制構築において抱える課題を特定し、その課題を解決するための方策を提案し、実装する取り組みを実践している。対象とするインフラ施設の種類や規模、体制等は、それぞれ異なるが、いずれの事業においても、技術的課題、財政的課題、産業界を含めた体制構築の課題、そして、システムを動かす人材育成の課題が含まれている。この取組みを成功させるためには、これらの課題に対して解決策を考え、組織を動かす努力を積み重ねるとともに、継続して実践するための仕組みを構築する必要がある。
最後に、本報告書を取り纏めるにあたりご尽力頂いた委員会委員各位、事業支援者各位、及び土木学会技術推進機構事務局、そして、モデル事業を推進頂いた各地方公共団体の関係各位に心より御礼申し上げるとともに、本成果が全国の地方公共団体におけるアセットマネジメントシステム実装の取り組みに、有益な示唆を与えることができれば望外の喜びである。
平成31年3月吉日
アセットマネジメントシステム
実装のための実践研究委員会
委員長 小 澤 一 雅
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平成30年度成果報告書.pdf | 45.43 MB |