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明治時代に始まった近代河川改修事業は「明治改修」と一括されていますが、これらの改修により日本の河川の姿は一変しました。それまで乱雑に広・狭となったり、あるところでは広大な無堤地帯を有していた河道が、整然と整備されました。今日、我々が目にする河川は、この「明治改修」により築かれてきたのです。
本書は、この事業を牽引した沖野忠雄(土木学会第2 代会長)に着目しながら、明治改修の全体像を現すことを目的としています。明治改修とは、西欧から導入した近代科学技術の下に、大規模な築堤を基として治水を目的に整備していった河川改修と言えますが、本書ではその社会的背景、技術的な課題について、そこで活躍した沖野忠雄をはじめとする明治の若き技術者達にも注目しながら、明らかにしています。
なお本書は、2004 年に土木学会から刊行された『古市公威とその時代』に引き続いて研究を進めたもので、これにより、明治から昭和初期に至る「近代第一期国土づくり」を網羅した内容となっています。
■ 編集:土木図書館委員会 沖野忠雄研究資料調査小委員会(委員長 松浦茂樹)
■ 平成22 年3 月発行,菊判,716 ページ,上製本
■ 定価:5,250 円(本体5,000 円+税5%)
■ 会員特価:4,730 円
■ 送料:590 円
ISBN 978-4-8106-0655-3
構 成
巻頭口絵 沖野忠雄と明治改修
第 I 編 河川行政・制度の進展
明治8 年(1875)堤防法案議論を出発点に河川改修思想の変遷を重要な課題として分析し、最終的な転換が明治30 年代後半にあったことを明らかにする。
第 II 編 河川事業-明治改修-の進展
淀川、利根川、信濃川など代表的な「明治改修」21 河川について個別に詳細に分析するとともに、明治初頭に行われた二つの事業についても述べる。
第 III 編 明治改修の評価
第 II 編で行った個別改修を踏まえ、計画論および施工技術論から「明治改修」の評価を行う。
第Ⅳ編 沖野忠雄の経歴と河川との係わり
明治改修における技術者の代表として沖野忠雄に焦点をあて、沖野の活躍を考察する。
年表・索引
*古市公威と沖野忠雄
古市と沖野は同じ1854(安政元)年生まれ。古市は姫路藩家老の長男として、沖野は豊岡藩の下級武士の
三男として幕末・明治維新の激動期を生き抜き、前後して大学南校~開成学校に入学、フランス工科大学官費留学、
帰国後も内務省の技術者となるなどほぼ同じ道を歩んだが、その後の活躍の場は大きく違った。
古市は若くして明治近代初の博士となり帝国大学工科大学長、内務省土木技監に登用され、土木行政のみならず
工学界全般の重鎮、長老として偉人伝に名を残す人物となった。
一方沖野は、内務省の河川畑を技術者として一筋に歩み、明治河川改修の父と呼ばれた。
土木学会初代・2代目会長であり、土木学会設立にも深く関わる二人の歩みは、『古市公威とその時代』(2004年)、
及び上記『沖野忠雄と明治改修』(2010年)において、その全貌を知ることが出来る。