2011年度河川技術に関するシンポジウム―新しい河川整備・管理の理念とそれを支援する河川技術―および「河川技術論文集 第17巻」論文
河川部会は1997年度に土木学会水理委員会(現水工学委員会)に発足した部会です。
河川部会は、河川技術を、「河川(水・土砂・物質循環系を含む)と人間および生物との関係をより良いもの変えていくために河川を賢く制御する実践的技術の総体」ととらえ、河川技術の分野において、産学官を問わず広い裾野から研究開発や技術検討が精力的に行われ、それが河川や流域の現場に広がり、現実を変え、そのことが国民、流域住民から肯定的に認知され、河川技術の発展とその現場への適用を促進するという好循環の形成に貢献することを目指しています。
そのために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川にかかわる学術との学際領域への展開など、河川の技術に求められるさまざまなインターフェ-ス的側面を追求しています。
河川部会では2011年度も標記シンポジウムを下記のように企画いたしましたので、ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。
(河川部会長 藤田 光一)
1.開催期日
2011年7月23日(土)・24日(日)
2.開催場所
東京大学農学部 弥生講堂 (文京区弥生1-1-1)
3.参加費
一般(会員)6500円、一般(非会員)8000円、学生(会員・非会員)4000円
※いずれも論文集代を含む
4.シンポジウム募集課題
本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、投稿ジャンル(後述)に示すように、[論文、総説、報告]があります。河川部会では、その目的に則って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術とのインターフェ-スを有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見をもとに、問題設定がなされ、研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。
(1)特定課題:「河道設計技術」
河道設計は、河川技術の中でも最もオーソドックスな分野の1つですが、次に示すような状況を受け、いま新たな発展が強く期待されています。
・ 災害の頻発、気候変動に伴う洪水流量増の可能性、治水施策に関わる制約条件の付加などを背景に、相対的な実行可能性の高さという面から、河道の流下能力を向上させる方策への依存度が従前以上に高まる状況下、河積拡大や粗度管理のあり方などを検討することが重要になってきている。
・ 管理フェーズまで含めた全体的な河川整備の合理化の重要性が強調され、河道掘削(掘り下げ、拡幅を含む),樹木伐採などを実施した後の河道変化を考慮した、河道維持管理と一体となった河道設計が求められている。
・ 多自然川づくりの推進・定着の一環として、災害復旧に伴う大規模な掘削においても良好な河川環境を確保することを強く意識して検討された「中小河川に関する河道計画の技術基準」が発出され、そこでも河道掘削の方法が重要テーマとなっている。
・ 上記の技術基準の改訂では、護岸は河岸・水際部の計画・設計を行う際の手段の一つとされ、多自然川づくりにおいて、川固有の営みを生かすような河岸・水際部の、ひいては河道の設計こそが本質的に重要とのスタンスが明確に打ち出されている。現場においても、定規断面ではない様々な掘削方法が実践されつつある。
・ 河道とその上で展開される生物活動との関係性に関する知見や技術的ツールの蓄積が進み、河道を軸に、治水と環境を一体的に考える方向性が明確になってきた。
本特定課題を取り上げるオーガナイズドセッションでは、川づくりを支えてきた以下のような流れ、すなわち、○土砂水理学を中心とした工学分野の学術成果の取り込み、○河川地形学などからの場の特性理解に関わる知見の活用、○実河川の河道特性の個別あるいは体系的分析、○実務的な立場からの河道計画・設計の枠組みづくり、○環境保全という観点からの川づくり技術、○現場の川づくり実践における個々の工夫・判断の積み重ね、などの複数の流れを、上記の新たな状況を認識しつつ、いま一度「河道設計」という河川技術の結節点に集約させて、河道設計技術の現状の確認や今後向かうべき方向について議論を展開して行きます。
以上の趣旨に関係する、あるいはそこを起点にさらに展開するような論文等を幅広く募ります。
(2)一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。
5.論文集投稿ジャンル
論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。
6.発表形式
特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。
7.投稿資格
河川の技術に求められるさまざまなインターフェ-ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。
8.投稿料
参加費とは別に投稿料を取ることはいたしません。
9.要旨による応募方法
応募にあたっては、下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。また、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください。第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)
10.応募締切り
2011年1月27日(木) 17:00
11.スケジュール
要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月中旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2011年5月19日(木曜日)17時を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後7月上旬にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。
12.問合せ先
河川部会長 藤田 光一
〒305-0804 茨城県つくば市旭1
国土交通省国土技術政策総合研究所河川研究部
TEL:029-864-7875
FAX:029-864-1168
e-mail:kasen-bukai”at”jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「”at”」を「@」に変更してください。