東日本大震災以降の厳しい電力需給のひっ迫などにより、早急な電源確保のニーズが高まるなか、発電所設置の際の環境アセスメントの簡素化・迅速化に関する具体的な方策について検討するため、経済産業省と環境省は2012年9月に連絡会議を設置しました。会議では火力・風力・地熱の関係事業者と関係自治体からヒアリングを行い、その結果を踏まえて両省で意見を交換して、2012年11月27日に中間報告を発表しました。
土木学会エネルギー委員会環境技術小委員会は、この動きに対応し、発電所環境アセスメントの迅速化に資する技術開発の動向調査を行い、迅速化に資する調査技術、データベース、予測・評価技術の開発動向と活用事例を報告書をとりまとめましたのでここに掲載致します。
2015年5月11日 :第3章・第5章の冒頭に、各章で紹介する調査技術、予測・評価手法
の位置付け等に関する説明文を補記しました。
目 次
第1章 はじめに
1.1 経緯
1.2 本書の構成
第2章 迅速化の考え方
2.1 手続の迅速化
2.2 火力リプレースガイドラインの合理化手法による迅速化
2.2.1 リプレースガイドラインの概要
2.2.2 合理化対象項目
2.2.3 合理化の条件および手法
2.3 環境調査の前倒しによる迅速化
2.4 情報・データの共有による迅速化
第3章 迅速化に資する調査技術
3.1 大気環境
3.1.1 発電所計画地点の気象観測を省略する方法
3.1.2 ゾンデ等を用いた高層観測を省略する方法
3.2 水環境
3.2.1 海洋レーダを用いて陸上から海面の流速分布を観測する方法
3.2.2 海洋レーダを用いて陸上から表層塩分の分布を観測する方法
3.2.3 自律型水環境モニタリングロボット
3.3 地形・地質
3.3.1 バイオセンサーによって重金属を迅速に測定する方法
3.3.2 ヘリコプターによる空中物理探査
3.4 動物
3.4.1 糞などのDNA解析によって動物の生息数を推定する方法
3.4.2 GISと多変量解析を用いたノウサギ生息密度の予測と地図化
3.4.3 鳥類調査の機械化
3.5 植物
3.5.1 リモートセンシングによる植生分布調査
3.6 生態系
3.6.1 DNA解析による野生動物の糞内容物からの餌植物同定
3.6.2 猛禽類を頂点とする食物連鎖の定量的解析
3.6.3 雑食性中型哺乳類の餌資源分布の評価
第4章 情報処理技術の高度化による手続きの迅速化
4.1 既存の電子ライブラリー
4.2 電子ライブラリーの充実
4.3 電子ライブラリー利用の高度化
第5章 迅速化に資する予測・評価手法
5.1 火力発電所の環境影響
5.1.1 排ガスが大気環境に与える影響
5.1.2 温排水が海生生物の生息環境に与える影響
5.1.3 敷地の造成が生態系に与える影響
5.1.4 計画段階で重要種の生息・生育可能性を効率的に推定する方法
5.2 水力発電所の環境影響
5.2.1 ダムの建設が河川生態系に与える影響
5.2.2 貯水池の水質悪化が水環境に与える影響
5.3 風力発電所の環境影響
5.3.1 騒音・低周波音・シャドーフリッカーの影響
5.3.2 バードストライクの影響
5.3.3 海鳥に与える影響
5.4 地熱発電所の環境影響
5.4.1 硫化水素の影響
5.4.2 周辺の温泉に与える影響
5.5 CCSの環境影響
第6章 アセス迅速化の事例
6.1 西名古屋火力発電所
6.1.1 環境影響評価の概要
6.1.2 更新手続き実績と審査の迅速化適用時の評価について
6.2 姫路第二発電所
6.2.1 環境影響評価の概要
6.2.2 更新手続き実績とガイドライン適用時の評価について
6.3 坂出発電所(2号機リプレース)
6.3.1 環境影響評価の概要
6.3.2 更新手続き実績とガイドライン適用時の評価
6.4 富山新港火力発電所
6.4.1 環境影響評価の概要
6.4.2 環境影響評価手続きと環境アセス迅速化の実績
6.5 竹原火力発電所
6.5.1 環境影響評価の概要
6.5.2 更新手続き実績とガイドライン適用時の評価について
6.6 風力・地熱発電所
第7章 おわりに
添付 | サイズ |
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発電所環境アセスメント迅速化に資する技術開発の動向と展望.pdf | 15.46 MB |
発電所環境アセスメント迅速化に資する技術開発の動向と展望_150511一部補記.pdf | 15.45 MB |