2006年11月22日、「都市水害対策と河川再生は両立するか」をテーマとする「土木の日」本部行事(実行委員長佐藤直良)が、新宿厚生年金会館ロイヤルホールで、約100名の聴衆を集めて開かれた。
まず、作家で江戸学研究家の石川英輔氏が、ご自身の身近にある妙正寺川を事例にして、河川と都市、人とのかかわりを話された。歴史に学んだ事は「よごさなければきれい」という単純な原理があると強調された。
続いて、NHKの山﨑登氏の司会で、(財)リバーフロント整備センター理事長の竹村公太郎氏、東京都建設局河川部改修課長の長島修一氏、(株)吉村伸一流域計画室の吉村伸一氏をパネリストとして座談会が行われた。
その中で、暗渠化した北沢川での「せせらぎ」創生が紹介され、都市河川のあり方、異常気象下の治水対策のあり方、土地利用と水害のあり方、住民参加は実態を正確に把握することの必要性、「川を再生する」という目標を明示する事の重要性、川沿いの土地利用と一体とした再整理が必要な日本橋川の話、清渓川(韓国)の教訓が討議された。景観再生はアイデンティティーの追求といった深い意味がある、あるいは都市の未来への強い意志をつらぬくことが必要との意見も出された。
更に環境をも目的に加えた河川行政の転換は、効率性を犠牲にしていることも認識すべきとの意見も出された。
結論として、治水と河川の再生は両立させるべきとされた。
なおこの記録はまとめて公表する予定である。
これに先立ち、東京山の手河川の治水対策として進められている神田川・環状7号線地下調整池の現場視察が行われた。