1 小委員会の目的
国内で近年発生した都市部の大規模災害である阪神大震災、超広域的に大きな被害をもたらした東日本大震災以降においても、御嶽山の噴火、熊本地震、北海道胆振東部地震、令和元年台風19号をはじめとした大規模水害等、多くの死者、行方不明者を伴う大きな災害が頻発している。さらに南海トラフ巨大地震や首都直下型地震、気候変動に伴う大規模な土砂災害や洪水被害の増加など、今後もこれまでと同規模あるはそれ以上の災害の発生が危惧されているところである。
また、わが国では、少子高齢化社会のさらなる進展(特に地方部)、東京圏や都市部への人口集中、地方自治体の財政難、老朽化インフラの増加等の問題を依然として抱えており、このような多岐にわたる問題を抱える中、災害発生後もいかにして市民の安全で安心な生活を維持、継続していくかが課題となっている。
一方、国土交通省では、これまでの教訓や検証を踏まえ、抜本的かつ総合的な防災・減災対策を講じるため、国土交通大臣のプロジェクトとして、令和2年1月に「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」が立ち上げられたところであり、土木学会としても市民のための社会・経済活動を支える基盤づくりを進めていくうえで、このような課題への対応策を提示することが大きな役割の1つであると考える。
そこで、この役割に貢献すべく、安全問題研究委員会の下に本小委員会を設置し、今後発生が危惧される大規模災害への対応しうるこれからの社会における地域のレジリエンスの在り方について、土木技術者と社会や市民との対話という視点を考慮しながら、調査研究を進めていくこととした。
2 活動概要
以下のような視点の例を踏まえ、事例・文献調査、アンケート調査、ヒアリング調査等を実施した上で課題を抽出し、課題への対応策について地域安全やBCP、DCPをソフト・ハード問わず幅広く議論する。
・市民の自助努力だけではなく、地域として市民の良質な生活空間を継続して確保するための在り方・方向性(産学官の支援方策を継続的に実施していくための方 向性、あり方)
・地方、都市部それぞれの継続的なリスクコミュニケーションの在り方(地方部の担い手不足が進む中でのコミュニティの継続、都市部におけるコミュニティの再生等)
・地域住民のリテラシー向上(社会インフラのみで対応できないという考え方等の災害的知識の向上、社会的共有)
・地域レジリエンスに資するまちづくり(これまでの災害復興の教訓を踏まえたまちづくり等)や都市計画の在り方とそれに係る市民との合意形成
・地域の災害リスクに対する市民の許容性とそれに係る公的、社会的支援
・自治体間連携、地域間連携
・発災後の復興を見据えた新たな方策
・アフターコロナを見据えた新たな方策
3 委員会名簿
委員長 長谷川 潤 さいたま市役所
幹事長 磯打 千雅子 香川大学IECMS地域強靭化研究センター
委 員 石村 隆敏 東日本旅客鉄道(株)
委 員 井上 晋一 (株)JR東日本商事
委 員 上田 繁和 (株)長大
委 員 内田 加苗 清水建設(株)
委 員 大澤 修一 (株)三菱総合研究所
委 員 大幢 勝利 (独)労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 研究推進・国際センター
委 員 大平 真弓 応用地質(株)
委 員 指田 朝久 東京海上ディーアール(株)
委 員 佐藤 英治 いであ(株)
委 員 白木 渡 香川大学
委 員 須藤 英明 鹿島建設(株)
委 員 須見 徹太郎 (一社) 全国地質調査業協会連合会
委 員 高鍋 剛 (株)都市環境研究所
委 員 高野 寛之 国土交通省
委 員 竹元 貴彦 (株)システム二十一
委 員 濱田 俊介 応用地質(株)
委 員 早川 直喜 札幌市役所
委 員 広兼 道幸 関西大学
委 員 矢内 匠 さいたま市役所
委 員 山口 健太郎 (株)三菱総合研究所
委 員 山中 憲行 前橋工科大学