2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,マグニチュード9.0という歴史上でも稀な巨大地震であり,我が国の極めて広い範囲にわたり,凄まじい津波をもたらした.その結果,夥しい量の震災がれきを発生させ,その量は青森,岩手,宮城,福島および茨城県の合計で約2670万tと推計されており,分布範囲は約443km2(山手線で囲まれる面積63km2の7倍)に及ぶとされている.震災がれきの構成は多岐にわたっているが,その中でも,コンクリートがれき,津波堆積土砂,混合がれきなどを焼却した後に排出されるがれき焼却残渣については膨大な量であり,かつ今後,被災地の復興が進行するにつれ,その量はさらに増加することが予想されている.これらの被災がれきへの対応としては,各自治体とも,分別し,有効活用したいとの要望がある.最終処分量を抑制させるためにも,震災がれきを有効利用する技術を開発することは極めて重要な課題であるが,土木工学に関する技術や知見の中には,震災がれきの有効利用に応用可能な技術が多数存在している.
このような状況を鑑みて,本研究課題では,東日本大震災で発生した膨大な量の震災がれきのうち①コンクリートがれき,②津波堆積土砂,および③がれき焼却残渣を対象として,これらの有効利用技術に関する調査研究を行い,技術的な側面から被災地の復興に資する情報を整理することを目的とする.
(1)東日本大震災で発生したがれきの実態(量,種類,など)に関する調査
(2)処分工程の効率化を考慮した被災がれきの有効利用技術に関する調査
(3)被災がれきの有効活用マテリアルフローの作成
(4)有効利用技術の導入による最終処分量の抑制に関する検証
関連する研究分野はコンクリート工学(第5部門)ならびに地盤工学(第3部門)であり,両分野を横断する柔軟なマテリアルフローを考えることで,被災がれきの合理的な有効利用方法を整理するとともに,最終処分量の抑制効果などに関しても検証する計画とする.