環境、エネルギー、人口など地球規模の問題を抱え、人類の科学技術への依存度が高まる中で、科学技術を担う技術者に高い倫理観が求められています。
近年、我が国では企業経営者や技術者の倫理観の欠如による事件・事故が続発しており、社会的批判を浴びています。この種の事件・事故は事前の防止が基本ですが、事後の対応如何によっては組織の存亡に大きく影響する事態となっています。このことは、経営者が倫理観を持って組織経営にあたることはもちろんですが、技術を行使する技術者は、自らの行為の適否を技術者倫理に基づき判断できる自律性と責任感を持たなければならないことを示唆しています。
土木学会は、1938年に発表された「土木技術者の信条および実践要綱」を発展的に改定する形で1999年に「土木技術者の倫理規定」を制定しました。以後、土木学会では、倫理に関する教材の出版や講習会などを通じて、技術者倫理の正しい理解と普及を目指しています。