2011年5月10日
公益社団法人 土木学会
会長 阪田 憲次
近時インターネットや新聞報道において、『土木学会の原子力土木委員会津波評価部会は、電力会社とその身内が大半を占めていて、「第三者性」が疑わしい』との趣旨が述べられ、委員構成を示して『このメンバーが津波評価部会だと言われても、とても中立公正に指針が作られたとは思えない。』などと結論している。しかし、これらでは土木学会の報告書の内容に関しては一切触れておらず、メンバーに電力事業者が多数含まれていることのみからの批判を展開している。
この報告書を作成した委員会に電力会社の委員が数多く入っているのは、原子力発電所の発注者として注文をつけるためではないかとの意見がある。しかし、それぞれの委員は原子力発電所の安全を担当する専門家であり、原子力発電所の計画・設計に当たって必要な数値や注意事項を実務家の視点から検討するために参加している。
さらに、報告書を一見すればわかるように、報告書の内容は、過去の津波の網羅的な調査の上に立って、津波波源(津波を起こす地盤の範囲)の設定から数値計算による設計津波水位の標準的な設定方法を客観的・体系的に取りまとめたものであり、そこに利害関係の入り込む余地はないと言える。
したがって、本報告書が「お手盛り」なのではないかといった見解は事実無根であり、科学的見地から研究し、報告書を発表している土木学会の活動に対する誤解である。
※ 「原子力発電所の津波評価技術」(原子力土木委員会 津波評価部会、平成14年2月発行)のPDF版は http://committees.jsce.or.jp/ceofnp/node/5 からダウンロードできます。
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110510_president.pdf | 68.67 KB |