我が国の電気事業者(一般電気事業者及び電源開発)が保有する火力(汽力)発電所は、全国に90箇所程度あり、最大出力の合計は2008年3月現在で1億2700万kW以上にのぼる。環境問題への対応や燃料のコスト変化などの時代背景から、燃料の種類の内訳は運転開始の年代により変化しているが、火力発電所は、最大出力の合計が発電設備全体の約6割を占める主要な電源設備である。
高度経済成長に伴う電力需要の急増などを背景に、1960年代から建設が増大した我が国の火力発電所では、運転開始からの経過年数が30年を超えるユニットの割合が増大してきた。2000年代に入り、これらの発電所を中心に、既設のユニットを撤去して新たなユニットを設置する、いわゆるリプレースの計画が検討、実施される例が増えてきている。
この火力発電所のリプレースにおいては、土木構造物を新たに建設する場合だけでなく、既設の構造物が流用される場合もあり、また、場合によっては既設の構造物が残置される場合もある。しかし、このようなリプレースに伴う土木構造物の取扱いの実態や検討内容が整理された例は少ない。
このような背景の下、土木学会 エネルギー委員会 新技術・エネルギー小委員会では、火力発電所のリプレースおよびその検討に要する諸技術について、既存の技術や最新の技術動向を調査するとともに、今後の方向性についての議論を行うことを目的として、2008年9月から2010年12月までの約2年間、火力発電所のリプレースに関する技術分科会を設置し、活動を行った。
本報告書は、その活動の成果を、報告書としてとりまとめたものである。
<委員の構成>
主査:松村卓郎 ㈶電力中央研究所
委員:北海道電力㈱、東北電力㈱、中部電力㈱、北陸電力㈱、関西電力㈱、中国電力㈱、四国電力㈱、九州電力㈱、東京電力㈱※、電源開発㈱※(※:幹事会社)
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