特集土木の仕事 13歳からのキャリア支援
(全国建設研修センターにおける座談会2009.6.16,「国づくりと研修」125号掲載記事抜粋)
出席者
梅原治子 鹿島建設(株)技術研究所研究管理グループ
高橋広行 東京都立総合工科高等学校建築・都市工学科教諭
永山貴一 (社)日本土木工業協会参事
宮田喜壽 防衛大学校システム工学群建設環境工学科准教授
〈進行〉
緒方英樹 (財)全国建設研修センター広報室長
〈コメント〉 道奥康治 神戸大学大学院市民工学専攻教授(土木学会「中・高生キャリア教育小委員会」委員長)
日常生活を支え続ける24時間の土木(PDF)
近くて遠いジレンマ 一般社会へどう伝えるか
――たとえば小学校で、ものづくりとか科学に興味を持った子どもたちが、将来の夢を具体的な進路につなげる時期になって、はたして土木の仕事が選択肢に入るための支援基盤は、土木の側からきちんと整備されているのだろうかという懸念があります。
また、あってあたり前、ないとたちどころに困る土木と暮らしの密接な関係が、身近なこととしてイメージされていないのはなぜなのか。そんなに近くて遠いジレンマを解消するために、どう伝えていけばいいのか。そうした課題を念頭に、今日お集まりいただいた皆様に、暮らしと土木の関係をたどっていただきながら、糸口を探してみたいと思います。
最初に、梅原さんがお勤めの鹿島建設技術研究所では、研究施設の年間見学者が三〇〇〇人位で、その半数が技術者ではないとお聞きしています。専任技術ガイドのお立場から、特に一般見学者に対して、何か心がけていることとかございますか。
身近なところから、興味につなげて
梅原 技術研究所の広報活動の一環ということで、見学の案内を担当しています。残念ながら広く一般に公開している施設ではないのですが、中学生、高校生の修学旅行や職場訪問のご相談があった場合はなるべくお受けしていますし、施主側のお客様でも、建設や土木以外の部署の方もいらっしゃるので、一般的な説明を求められる機会は多いです。 そこで、たとえば技術的な説明をするときは、わかりやすい言葉でということはもちろんですが、ふだん土木を空気のように感じている立場の方にとって、どういう点が驚くところなのかとか、常にそういう視点を忘れないことを心がけています。