(社)土木学会 会長 阪田 憲次
(公益社団)地盤工学会 会長 日下部 治
(社)日本都市計画学会 会長 岸井 隆幸
「東北関東大震災-希望に向けて英知の結集を-」
北国にもようやく春の訪れが感じられる頃、3月11日の昼下がり、突然の揺れと狂暴な津波が襲来し、日本の故郷である東北地方を蹂躙し、関東地方など周辺地域にも大きな爪あとを残した。そこで営まれていた人々の生活も思い出も、家とともになぎ倒され、根こそぎ押し流された。そして、尊い、多くのいのちが失われた。深い悲しみと喪失感は、わが国のみならず全世界に拡がった。
犠牲になられた方々に対し、衷心より冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様方に対し、心よりお見舞いを申し上げたい。
現在、被災地において、寒さと生活物資の不足に苦しみながらも雄々しく立ち上がろうとされている被災者の皆様、それらの人々を支えて苦闘されている方々、特に、原子力発電所において被害の拡大を防ぐため、自らの身の危険も顧みず献身されている方々に対し、満腔の敬意と連帯の思いを表したい。われわれ国土や都市及び社会基盤を専門とする技術者・計画者として、その列に加わり、この難局に立ち向かいたい。
この度の震災は、近年のわが国にとって例を見ない特徴を有するものであった。すなわち、広域、大規模、壊滅的地域の存在、そして原発事故による状況の悪化である。このような震災に対して、われわれ技術者・計画者集団としてなすべきことは多い。まずは、震災の調査分析および今までに積み重ねてきた対策の再評価である。それはより信頼性の高い基準や指針の構築につながるものである。次に、急がれる緊急復旧への実行性のある提言及びどのようにして安心して住めるまちと国土経営の体系を築いたらいいのかという恒久復興への提言、さらには国土の危機管理を念頭に置いた社会システムの再編等である。それらは、やがてわが国を襲うことが予想されている、東海、東南海、南海地震をはじめとする巨大地震への備えとなるべきものである。
今回の震災は、古今未曾有であり、想定外であると言われる。われわれが想定外という言葉を使うとき、専門家としての言い訳や弁解であってはならない。このような巨大地震に対しては、先人がなされたように、自然の脅威に畏れの念を持ち、ハード(防災施設)のみならずソフトも組み合せた対応という視点が重要であることを、あらためて確認すべきである。また、当たり前のように享受してきた、電力、輸送体系のマネジメントシステムの見直しもわれわれが取り組むべき課題であろう。そして、何よりも皆が待ち望む力強い地域の再生を実現しなければならない。
震災後10日が過ぎ、被災地にも、徐々にではあるが、復旧、復興への兆しが見え始めたが、途は遠い。しかし、乗り越えられない困難はない。被災者の皆様の悲しみに寄り添い、手を携えて難局に立ち向かいたい。そして、われわれ技術者・計画者集団、関連する学協会も、その英知と経験を結集し、難局に立ち向かいたい。それらの営為が、やがて希望につながると信じる。
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土木学会長・地盤工学会長・日本都市計画学会長 共同緊急声明(PDF) | 84.71 KB |
東北関東大震災特別委員会設置(PDF) | 197.02 KB |