土木学会 東日本大震災フォローアップ委員会 原子力安全土木技術特定テーマ委員会では,「原子力発電所の耐震・耐津波性能のあるべき姿に関する提言(土木工学からの視点)(案)」をこのたびとりまとめました.
東日本大震災における原子力発電所事故は大きな社会問題を引き起こしました.原子力発電所の地震・津波安全には多分野の技術が関わりますが,その基盤を支える土木工学の役割は非常に大きいといえます.自然現象に対して目標とする安全レベルを達成するためには,自然科学の深化から得られる新しい知見の導入と,関連工学分野のたゆまぬ技術開発との両輪の調和が基本と考えます.本書は,地震・津波に関わる土木工学分野の最近の技術動向を踏まえて,原子力安全のあるべき姿を議論した結果を提言として示すものです.特に留意したことは,直ちに適用が可能な技術や施策に思考をとどめずに,今後の技術開発や工学連携による安全達成の可能性を追求する姿勢です.原子力発電是非の二分論を超えて,この提言が広く我が国のエネルギー問題と社会安全問題の解決に役立つことを期待します.
平成25年7月
原子力安全土木技術特定テーマ委員会
委員長 当麻 純一