本報告は、7月19日(火)−22(金)に支部連合調査団として実施した、東日本大震災の現地調査の概要と調査から得られた知見をまとめたものである。
【目次】
はしがき
1. 調査概要
1.1 現地調査の目的
1.2 現地調査の訪問先と行程
1.3 調査団の構成
2. 現地調査状況
2.1 東北地方整備局訪問
2.2 気仙沼市周辺調査
2.3 陸前高田市役所訪問
2.4 陸前高田市周辺調査
2.5 大船渡市周辺調査
2.6 岩沼市役所訪問
2.7 岩沼市周辺調査
3. 現地調査から得られた知見
4. 今後の検討・対応が必要な事項
5. 「安全な国土への再設計」プロジェクト
5.1 プロジェクトの目的
5.2 プロジェクトの実施方針
5.3 プロジェクトの実施体制
5.4 プロジェクトの実施内容
5.5 期待される成果
本報告は、7月19日(火)−22(金)に支部連合調査団として実施した、東日本大震災の現地調査の概要と調査から得られた知見をまとめたものである。
本調査のために、全国の各支部から所属と専門分野を異とする団員が集結した。この調査は、東北地方の震災の甚大な人的、物的被害を調査し、それを教訓として、全国各地方を安全な国土となるよう再設計するために何を成すべきかを念頭に実施されたものである。
まず、調査を先行した東北支部からの報告を受けた。同時に、各支部から、地方ごとの自然条件や都市、農山漁村など社会経済条件の異なる状況下で、起こりうる災害の種類と大きさ、社会経済波及被害の違いなどについて、初期的な知見を発表しあって意見交換を行うことから始めた。
現地調査期間中には、各支部が抱える被災ポテンシャルや、専門分野毎に異なる切り口で見た被災地の現状,復旧・復興についての様々な考え方を全団員が共有した。3章で示した知見の一覧表、および4章で示した課題とその構造図は、そのような団員間の議論を凝縮したものである。
本調査の成果の一つとして『「安全な国土への再設計」プロジェクト』を最終章で提案している。このプロジェクトは、各地方で実施すべき連鎖複合災害被災ポテンシャルの点検とその対策メニュー策定を目論むものである。これらは、従来の土木工学と周辺の工学・自然および社会科学の縦型分野の知見が横断連携して結びつけられるような、新しい方法論を作り上げてはじめて為しうるものである。このことから、全国を安全な国土へ再設計するために、土木学会会員の理解と会員相互及び社会との協力を飛躍的に高めていく仕掛けをつくる。具体的には、各支部に「安全な国土への再設計」支部タスクフォースを、そしてそれらの連携組織として本部に「安全な国土への再設計」支部連合プラットフォームを、それぞれ設置し活動開始することを提案するものである。
最後ではあるが、復旧・復興の激務の中にありながらも本調査にご協力くださったすべての皆様に、心より御礼申し上げる。そして、被災地における復旧・復興と、全国における安心安全な国土・社会の再構築に役立つよう、ここに提案されるタスクフォースとプラットフォームが設立され実行に移されることを強く希望するものである。
平成23年9月
支部連合調査団
団長 林 良嗣
副団長 甲村 謙友