◆委員会設立の趣旨
道路橋床版の第7期目となる小委員会(2021年10月~2024年9月)では、設計の合理化と長寿命化技術を調査研究テーマに活動し、第5期で発刊した「道路橋床版防水システムガイドライン2016(鋼構造シリーズ28)」および、第6期で発刊した「道路橋床版維持管理マニュアル2020(鋼構造シリーズ35)」、「道路橋床版の長寿命化を目的とした橋面コンクリート舗装ガイドライン2020(鋼構造シリーズ36)」の改定に向けた検討を行うとともに、コンクリート系床版の合理的な設計手法確立の一助とするため、設計規定や耐久性に影響を及ぼす設計条件を整理し、委員会報告書として成果を取りまとめました。また、第12回および第13回道路橋床版シンポジウムを、それぞれ2022年、2024年に開催しました。新設小委員会では、前期委員会報告書を踏まえ、維持管理マニュアル、防水、舗装ガイドラインの改定にむけて取り組みますが、床版の維持管理は、防水工、舗装を含めた三位一体で検討する必要があります。一方、近年増加している床版大規模更新工事において、各種プレキャストPC床版の継手構造が開発されておりますが、継手の評価手法の確立が求められることや、既設桁の補強方法について検討する必要があります。
◆目的および活動内容
新設小委員会では、道路橋床版の維持管理と設計手法に着目して、以下の内容について活動することを目的としています。
(1)舗装・防水を考慮した道路橋床版の維持管理マニュアルの発刊
前期小委員会では、マニュアル、ガイドライン改定に向けて、点検診断、防水に関する資料収集や補修対策フローの策定を行いました。また、橋面コンクリート舗装については、床版との一体化による床版補強が可能な技術としての評価を行いました。新設小委員会では、これらの検討結果を踏まえてさらなる検討を行い、維持管理マニュアルの改定を目指しますが、防水、舗装も床版の補修・補強対策の一部であることから、これらを含めたマニュアルとする必要があります。そのため、舗装、防水工、床版を三位一体とした維持管理マニュアルの発刊を目指します。なお、将来の体系化を見据え、これらの活動内容に併せて、点検診断技術や防水に関する資料収集も行うとともに、橋面コンクリート舗装の経年調査等を行います。
(2)設計手法の提案
大規模更新工事の床版取替えに対応するため、各種プレキャストPC床版の継手が開発されていますが、輪荷重走行試験による評価が主体となっていることから、床版作用や桁作用による設計的な評価が必要と考え、その手法確立に向けた検討を行います。また、全断面施工や半断面施工などにおける床版取替時の既設桁の照査手法について、事例収集などにより課題を抽出し、合理的な設計手法の提案を目指します。なお、前期に引き続き、設計手法の合理化を図るための検討を行い、今後の各種示方書や便覧などの改定に反映できる資料を取りまとめます。
◆活動方法
小委員会の下に各技術課題に沿った分科会またはWGを設置します。活動方法としては、全体委員会を3~4カ月に1回、その間に分科会・WGを適宜開催します。また、有識者による講演会や現場見学会なども状況に応じて企画していくほか、毎回多くの方の参加・発表がある「道路橋床版シンポジウム」も2年に1回の頻度で継続して開催し、研究者・技術者・道路管理者などとの技術交流の場としていきます。
◆活動期間
2025年10月~2028年9月(3年間)