道路交通の発達に伴い誕生した遮音壁は、北米やヨーロッパで様々なタイプが開発されています。日本でも、高速の移動を目的とする道路や鉄道沿線をはじめ、様々な場所でコンクリートや金属を主体とする遮音壁の設置が進められています。一方、社会情勢の変化に伴い、遮音壁に元来要求されている遮音性のほかに、景観配慮や環境保全といった新たな価値観を付加する重要性が認識され始めています。
木材工学委員会の道路付帯施設に関する研究小委員会では、新たな価値観の一つとして木製遮音壁を取り上げ調査・研究を進めてきた結果、個別要素に関して一定の成果が得られ始めたものの、利用者の立場を含めた分野横断的な議論に展開するには至っていないのが実状でした。
このような背景を踏まえ、各分野における遮音壁に関するこれまでの技術動向を振り返るとともに、今後の可能性を探る取り組みとして「これからの遮音壁について考える」と題するシンポジウムと最近開発が進められている木製遮音壁を対象とした現地検討会を今回企画しました。