環境技術小委員会では、平成18年、地球温暖化などの地球環境問題解決への対応、「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する法律(RPS法)」の施行等を受け、再生可能エネルギーの開発が積極的に進められる中、「再生可能エネルギー開発の現状と課題」を取り纏めました。
それから10年を経て、温室効果ガスの人為的な排出による地球温暖化の進行が一層明確になり、再生可能エネルギーが欧米を中心として大量に導入されました。我が国でも再生可能エネルギー開発と関連技術の開発が進められてきましたが、平成23年3月の東日本大震災によって原子力発電所が停止し、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が導入されるなど新たな局面を迎えています。
エネルギー委員会環境技術小委員会では、10年間の技術進歩、再生可能エネルギー開発の支援制度と大量導入の問題点、JCM等を活用した海外展開の重要性などに着目してこの報告書を改訂しました。特に、パリ協定によって途上国も含めてすべての国に温室効果ガスの排出削減が義務付けられることになり、排出量が大幅に増加するとみられるアジア地域を中心とした再生可能エネルギー開発の海外展開については新たな章を設けて詳述しました。
本報告書が、エネルギー土木技術者が各種再生可能エネルギー開発の現状、課題及び今後の方向性を理解するのに活用され、国内外の再生可能エネルギー開発へ取り組む一助となれば幸いです。
目 次
第1章 再生可能エネルギー開発の意義と必要性
1.1 再生可能エネルギーと地球環境問題
1.2 地球温暖化対策と我が国のエネルギー事情
1.3 再生可能エネルギーの定義
1.4 再生可能エネルギー導入促進の取り組み
1.5 再生可能エネルギーの開発に期待するところ
第2章 再生可能エネルギー開発の位置付けと開発の現状
2.1 総エネルギー供給中の位置付け
2.2 風力発電の現状と将来見通し
2.3 太陽光発電の現状と将来見通し
2.4 地熱発電の現状と将来見通し
2.5 水力発電の現状と将来見通し
2.6 バイオマス発電の現状と将来見通し
2.7 廃棄物発電の現状と将来見通し
2.8 研究開発途上の再生可能エネルギー
(海洋エネルギー、高温岩体発電)の現状と将来見通し
第3章 再生可能エネルギー開発の課題
3.1 風力発電
3.2 太陽光発電
3.3 地熱発電
3.4 水力発電
3.5 バイオマス発電
3.6 廃棄物発電
第4章 再生可能エネルギー支援制度の現状と課題
4.1 再生可能エネルギー関連の支援制度
4.2 わが国における FIT制度の現状と課題
4.3 民間における取り組み
第5章 再生可能エネルギー開発の許認可手続きの現状と課題
5.1 再生可能エネルギー利用発電所の許認可手続き
5.2 再生可能エネルギー利用発電所の環境アセスメント
第6章 再生可能エネルギー開発への土木技術者の貢献
6.1 再生可能エネルギー発電事業の計画における土木技術の貢献
6.2 各種プラントの建設における土木技術の貢献
6.3 CDM・JCMプロジェクトにおける土木技術の貢献
第7章 海外展開の現状と課題
7.1 中国
7.2 インド
7.3 インドネシア
7.4 マレーシア
7.5 バングラディッシュ
7.6 フィリピン
7.7 ベトナム
7.8 タイ
7.9 ラオス
7.10 カンボジア
7.11 ミャンマー
7.12 大洋州地域
7.13 アフリカにおける地熱開発
7.14 世界銀行などの環境社会配慮政策
第8章 再生可能エネルギーの普及に向けた提言
添付 | サイズ |
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再生可能エネルギー開発の現状と課題_報告書_改訂版_ver2.pdf | 29.88 MB |