地震工学委員会 性能に基づく橋梁等構造物の耐震設計法に関する研究小委員会サイトへようこそ!
1.設立趣旨
構造物の耐震設計が性能をベースとした体系となって久しいが,多様な性能ニーズに対応するための構造物を構成する部材の非線形挙動の評価,限界状態の評価などまだ今後研究すべき課題が多く残されている。また,性能という観点からは,早期に機能回復する「復旧性」が求められる構造物が多くなってきており,この視点からの研究課題への取り組みも必要である。橋梁等の構造物に対する耐震補強についても,これまでに個々の耐震補強技術が研究開発され,現場においても順次事業が進められてきていると同時に,様々な制約条件下にある特殊な構造物の耐震補強,劣化が生じている構造物の耐震診断と耐震補強等が課題となってきている。さらに,平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震Mw9.0では,想定を超える事象が起きうることをつきつけられた。従来,土木構造分野で暗黙のうちに多用されていた既往最大という過去に認められている実際に起こった災害を想定した対策を行うという行為に対しても,専門家としての姿勢が問われもした。東北地方太平洋沖地震後に改定された道路橋示方書と鉄道構造物等設計標準の耐震設計編では,ともに,耐震設計では考慮していないが想定されうる地震に伴って生じる事象に対する危険の程度を小さくすることを求めており,構造計画の重要性が強調されている。このため,橋梁構造物などの構造物を対象に耐震性能の照査技術の構築に必要とされる学術的な研究課題について,専門領域を超えて研究・技術情報の交流を図り,今後の耐震設計技術の向上に資することを目的として本小委員会を設立する。
本小委員会は,橋梁等構造物などの構造物を対象に性能に基づいた耐震設計技術の構築に必要とされる「入力地震動評価」,「構造物の応答評価」,「部材の耐力や変形能力評価」,「耐震・免震・制震設計」等を研究対象とする予定である。また,引き続き,性能に基づく橋梁等の耐震設計法に関するシンポジウムも開催する。
なお,本研究分野に関しては,「地震時保有水平耐力法に基づく耐震設計法の開発に関する研究小委員会(小委員長:東京工業大学 川島一彦教授)」,「地震時保有水平耐力法に基づく耐震設計法に関する研究小委員会(小委員長:土木研究所 運上茂樹 上席研究員(当時))」,「地震時保有耐力法に基づく耐震設計法研究小委員会(小委員長:九州工業大学 幸左賢二教授)」,「性能の基づく橋梁の耐震設計法に関する研究小委員会(小委員長:土木研究所 星隈順一 上席研究員)」において継続的に研究活動が行われ,耐震設計技術の向上に貢献してきたところであるが,上述したようなこれからの研究課題に加え,東海,東南海,南海地震等の大規模 地震の発生や,活断層の特性やこれに基づく地震動研究の進展により兵庫県南部地震よりも更に大きな地震の発生も懸念されてきているという背景も鑑み,その 時代時代の背景や耐震技術に対するニーズにマッチした研究課題に的確に対応した研究活動を実施していく必要があると考える。
2.活動期間
2014年4月~2018年3月 (4年間)