土田 孝 (つちだ たかし)
平成28年度の土木学会中国支部長を仰せつかりました広島大学工学研究院の土田孝です。
はじめに、昨年度、平成27年度は中国支部において土木学会全国大会が開催される年度でした。支部運営とともに岡山大学で開催された全国大会の準備と運営の任にあたられた、丸山支部長(全国大会実行委員長)、出路幹事長、潮見事務幹事、前野全国大会実行委員会副委員長、綾野実行委員長幹事長の方々のご尽力に心より御礼申し上げます。
さて、わが国は、近年、大きな災害が毎年のように発生しています。日本列島全体で地震活動と火山活動が活発化し、雨の降り方がより局地化・集中化・激甚化することによって大災害の発生頻度が明らかに高まっています。中国支部では2014年8月の広島豪雨災害が記憶に新しいわけですが、最近の7年間をみても2009年防府豪雨災害、2010年広島庄原豪雨災害、2013年島根・山口豪雨など、4件も災害調査団の派遣が必要となる豪雨災害が発生しました。一方、東日本大震災の発生を受けて、今後30年以内に発生する確率が高い南海トラフ巨大地震の対策を中心に地震による被害想定の見直しが進められ、地震対策の検討がなされてきました。本年4月の熊本大地震の発生は、南海トラフ巨大地震に加えてどの地域でも起こりうる直下型地震への備えの重要性を改めて示しています。地域の特性を考慮しながら豪雨災害および地震災害に備え、災害を軽減するための取り組みを継続することは、中国支部の大きな使命であると考えます。
わたしども土木学会は、日常生活を支える社会基盤に関する技術者および研究者による学会であり、会員の多くは官公庁、公益企業・民間企業、大学等に勤務して、これらの施設の建設と維持管理、さらには、まちづくり、防災などの仕事に携わっています。6月10日に土木学会総会に出席しましたが、新たに就任された田代民治会長は所信の中で「担い手づくり」の重要性を強調されました。土木技術に携わる若い世代が減少していること、特に女性が依然として非常に少ないことが土木技術の将来にとって大きな問題であることを指摘され、建設現場の改善やITの活用など、さまざまな観点から土木学会として真剣に取り組みたいとの考えを示されました。この問題は土木と社会との関係に繋がる奥の深い問題であり、腰を据えて議論しできることを実行していく必要があると思います。
これらの課題、さらにはこのほかにも取り組むべき課題があると思いますが、支部長として会員の方々からさまざまな意見をいただきながら、円滑な支部運営に全力で取り組んでまいりたいと思います。
支部会員の皆様のご支援とご協力を賜りますようお願いして、ご挨拶とさせていただきます。
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