この度、平成25年度の土木学会中国支部長を仰せつかりました広島県の岩佐哲也と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに、平成24年度の事務局の任にあたられました末國光彦支部長、吉岡一郎幹事長、岡川一義事務幹事におかれましては、支部における様々な課題への対応や支部運営にご尽力いただきましたこと、誠にありがとうございました。
さて、未曾有の被害をもたらした東日本大震災や昨年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井版崩落事故は、土木技術やインフラに対する信頼性を揺らがせる大きな出来事でした。土木に対する信頼を取り戻すためにも、われわれ土木に携わるものとして、原点に立ち返り、「Civil Engineer」とは何かを改めて自らに問いかけ、社会インフラを通した社会貢献という役割の重要性を認識し、多様な国民のニーズに適切に応えるよう、それぞれの役割の中で一人ひとりが努力していかなければなければなりません。
近年頻発する自然災害への対応、特に近い将来に高い確率で発生すると予測されている南海トラフなど巨大地震の災害への対応や今後急速に老朽化する社会インフラの戦略的な維持管理・更新、成長力の強化を図るためのインフラ整備などについて厳しい社会情勢下においても確実に進めていくことが必要ですが、解決すべき課題は山積しており、産・学・官で構成される土木学会の役割は今後ますます重要になってくるものと考えております。
このような状況の中、土木学会は様々な社会的なニーズ・課題に対し的確に応えていかなければなりません。土木学会が『公益社団法人』へ移行して、3年目を迎えることになりましたが、更なる透明性を確保するとともに、時代に即した活動の充実を図り、改めて学会の公益的性格を強化していく必要があると考えます。『公益社団法人』としての目的を達成するため、「土木」の学術的・専門技術的な拠り所となる学会として、本部・支部が連携を密にして、『国際競争力の強化』、『地球環境問題』、『巨大災害リスクへの対処』、『技術者の支援』など、「土木」をめぐる重要課題解決に機動的に取り組んでいかなければなりません。
しかしながら、土木学会の足元を見ると、ここ数年、学会会員の減少傾向への対応が大きな課題となっており、学会の事業展開や財政運営も時代の変化に柔軟に対応していく必要があります。支部としましても、引き続き学生会員の正会員への移行や官公庁職員、企業社員の加入促進に努めるとともに、特に今年度、支部のミッションであるシニア会員の退会抑制策について十分に議論してまいりたいと考えています。
また土木学会は来年、創立100周年を迎え、これまでの100年の集大成を行うとともに次の100年へ繋ぐ、重要な節目、大きな転機であると考えております。土木学会では100周年事業として様々な事業を実施することとしておりますが、中国支部においても市民との交流を目的として、「身近な土木を描いてみよう!図画コンクール」、「土木遺産ツアー」、「夏休み親子見学会」、「土木カフェ」、「土木コレクション」を、またインフラを通じた社会への貢献として「安全な国土への再設計」などを取り組む予定としております。