平成25年9月9日
断層変位評価小委員会の設立趣旨
土木学会 原子力土木委員会
副委員長 小長井一男
1.委員会の名称 断層変位評価小委員会
2.目的
1972年、カリフォルニア州で制定されたAlquist-Priolo地震断層法は、断層に沿った地域の科学的調査に基づき、断層を挟む帯状の地域の建設を合理的に規制する法律であり、カリフォルニア州ばかりでなく、海外における安全な地域環境構築にこの法律が与えた影響は極めて大きい。しかし、我が国や台湾などプレートの沈み込み地帯で卓越して認められる逆断層では、カリフォルニア州のような横ずれ断層と異なりその空間構造が複雑で調査や判断が容易ではなく、 1999年の台湾集集地震で石岡ダムが10mほどにも達する地震断層変位によって大きく被災した事例は、そうした難しさを改めて印象付けるものとなった.このような背景もあり、原子力施設については施設直下の断層破砕帯に関する安全審査が増加するとともに、平成25年7月に施行された新規制基準では、将来変位する可能性のある断層等の直上への施設の設置を禁止している.
しかしながら重要構造物である原子力施設は言うに及ばす、周辺地域全体も含めて,断層変位の可能性と影響を可能な限り科学的に評価していくことが地域全体の安全を考えるうえで真に重要である。地震断層はその突然の変位の危険性という面ばかりではなく、断層に沿って長期に形成されてきた地形と地盤・地質環境が地域社会の生活や産業をはぐくんできた面もあるからである。施設建設のON/OFF的な議論にとどまるのではなく、断層変位を合理的に評価し、可能な対応を地域全体で考えていくための方法論を探り、地域社会に客観的な情報を発信していくことを本小委員会の目的とするものである.
3.委員構成
委員長,副委員長,委員,幹事,オブザーバーより構成(別紙参照).
4.活動内容
・ 断層変位評価に関する技術の現状の取りまとめ
・ 断層変位評価に関するメッセージ・提言の作成
・ 広域調査に関連した研究の実施
5.活動予定期間
第一期: 平成25~26年度(25年度は10月,12月,2月に会合を予定)
以上