断層変位評価小委員会講演会
第5回 断層変位評価の解析技術
主催:原子力土木委員会 断層変位評価小委員会
日時:平成26年10月21日(火) 13:00~14:45
場所:土木学会 A・B会議室
プログラム:
時間
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内容
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資料
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13:00~13:30
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衛星リモートセンシングを用いた広域の地盤変動解析
東京大学生産技術研究所 竹内渉
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13:30~14:00
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エンジニアリングにおける地圧測定と二~三の例, 地圧のばらつきなど
(一財)電力中央研究所 新孝一
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14:00~14:30
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地震発生層より浅い部分から放出される地震動の定量的評価
(株)大崎総合研究所 壇一男
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14:30~14:45
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ディスカッション
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参加費:無料
参加申込:
参加をご希望される方は、以下のサイトからお申込みをお願いいたします。
http://www.jsce.or.jp/event/active/information.asp
お問合せ先:
土木学会事務局 研究事業課 田中 博
電話:03-3355-3559
メール:h-tanaka@jsce.or.jp
リモートセンシング技術の発展に伴い,衛星画像を解析することによって,短時間での地盤変動や,海外等の地上の水準点がない地域でも,地盤変動を高精度に,経済的に,広域に把握することが可能となっている.本稿では,1992年以来,欧米や日本で利用されている合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)画像を使用し,干渉SAR解析を用いて過去の地表面の変動履歴を算出する手法を解説する.衛星観測では,広域に面的地表面変動が捉えられるため,地下構造物建設による地盤沈下の検知は比較的容易であるが,森林や河川敷など植生の深い所,反射波が弱いエリア,コンクリートの平面などは,電波の後方散乱が少なく,観測は困難である.また2000年半ばから解析が可能となっている偏波観測,PSInSAR(Permanent Scatterers Interferometry SAR)と呼ばれる,永久散乱体(Permanent Scatterer)と呼ばれる干渉 SAR解析の新手法について重点的に解説する.この手法を用いれば,従来の干渉 SAR 解析ではないがしろにされていた,コヒーレンスの低い長基線データを無駄にせず利用することができる.また,デジタル数値標高モデルやGPS 等から得られる水蒸気データを用いることなく,大気の遅延ノイズを避けることも可能となる.
岩盤基礎上の大ダム、原子力関連施設、大規模地下空洞などの大型の重要構造物の建設においては、数値解析に裏打ちされた設計が行われる。そこで必要となる岩盤のパラメータは、物性と作用する応力(地圧)である。特に、物性と異なり地圧は深部になるほど比例的に大きくなるので、設計上のキーとなるパラメータとなり適確な測定評価技術が開発されてきた。これらのエンジニアリング分野で用いられめる地圧測定法のうち、応力解放法、水圧破砕法などの概略を紹介する。また、軽い山はねが生じるようなトンネルでの多数の測定にみる地圧のばらつき、そこから数km離れたサイトでの測定例との比較、断層や破砕帯を挟んでの地圧の変化、などの事例を紹介する。また、異なる地圧測定法は異なる原理に基づくのでそれぞれにくせなども含め特徴があると考えられる。そのような特徴や留意点についても言及したい。
1995年兵庫県南部地震で震度7の震災の帯をもたらした強震動パルスは、各パルスに対応するアスペリティから放出されたことがわかっている。これにより、わが国における強震動予測においては、アスペリティと背景領域とから構成されるアスペリティモデルが多く用いられるようになった。
アスペリティモデルでは、震源断層を地震発生層の中に設定しており、ほとんどの地震波は地震発生層から放出されると仮定している。これは、地震発生層よりも浅い地盤から放出される地震波を無視していることを意味している。
しかし、近年、原子力発電所敷地に極めて近い活断層の存在が指摘されるに至り、浅い地盤からの地震波の放出が例え少量であったとしても、距離が非常に近いので施設への影響は大きいのではないかと考えられるようになった。
そこで、本研究では、浅い地盤からの地震波の放出を定量的に評価するとともに、その結果を全体の地震動と比較することとした。その結果、周期0.5秒~5秒において、断層のトレース付近で断層直交成分が断層平行成分より大きいこと、断層直交成分は少なくとも90 %以上が地震発生層の部分から来ていること、断層平行成分はほぼ100 %が地震発生層よりも浅い部分から来ていることがわかった。 今後は、逆断層についても同様の検討を行う予定である。